【 party 】




「セイさん、今日はどんな格好にしましょうか?」

 色とりどりの玩具箱のような部屋でたくさんの衣装を広げ、
 その中の人形の一つのように動かないセイに向かって問い掛ける。

 答えなど最初から待っていない。


「もうすぐ蒼葉さんが来ますから。蒼葉さんのお好みの服がいいですね」

「蒼葉の好み? ペンギンは?」

「それじゃあ嫌な思い出だろ」

「じゃ、蒼葉みたいな服」

「セイさんにか?」

「あー…」


 その間も、セイは遠くを見つめたまま動きはしなかった。

 結局セイの肌のような白と、それを引き立たせる黒い服。

「さて、パーティの準備を始めましょう」

 囁きながら、胸元に留めてあったピンを帽子へ刺し、
 ふわりとセイの頭に載せた。






END(2012.3)