-:-:-: ガラスダマ :-:-:-:-


 青。
 蒼。
 青い眼。
 蒼い。青い。

 くすんだ、精度の悪いガラス色。


 人種交配は進んでいて、別に青い眼はめずらしくない。
 だが。
 真っ黒な髪のせいだろうか。
 孤児のスラムにいるからだろうか。
 チラチラと向けられる視線がムカつく。
 遠巻きに脅えたような視線を向けるから。

 ムカつく。
 だから、思いっきり殴って沈める。
 そうすると、また…脅えたような視線が増す。

 そのうちに、伸びた前髪を切るのが億劫になった。
 淡い虹彩が、真っ黒な影に隠れる。
 だが、その頃にはもう、彼の存在は辺りに知れ渡っていた。
 鬱陶しい視線は止まない。
 それを、獲物だと認識したのはいつからだろう。

 雑魚を蹴散らすことが楽しくなった。

 青い眼が映えるように、髪を脱色してみた。
 それでも、紛い物な気がして、前髪は放っておいた。
 背もどんどん伸び始めた。
 余計に目立つ存在になったらしい。

 怖れ、遠ざかって行くものを追いかけることに快感を覚えるようになった。
 逃げたのが悪い。
 恐怖に引き攣った顔を見下ろすと背筋がゾクゾクする。
 勝者の証。
 真っ赤な飛沫を浴びて笑う。


 今、この瞬間は…ホンモノ──。



                          (了)





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キリヲと出会う前なかんじでした。
なーんも考えてなさそうで、実は考えてない所に傷があったりとか…
自分にもわからないくらい根深いものだから、表にも出ない…とか。
ただの夢ですかそれ…?;
…あ、私の好みですね…;