::::::「 おぼろうた 」:::::::
裡で鳴り響いている旋律。
ずっと、忘れられない歌。
知っている。
この感覚、この気持ち。
否、知らない。
忘れたはずだ。
今、ライを支配しているものは、「それ」ではない。
けれど…。
どうして消えない。
命を握りつぶした瞬間、湧き上がる想い。
背筋を駆け上がる、言い知れぬ喜悦の感情。
その想いと共に、かすかに響く──声。
それは、ずっと遠く、ずっと遠くの…喜びの記憶。
喜び…だったのだろうか。
解らない。
それが、何であったのかも。
けれど。
それでも。
声が…──消えない。
懐かしい?
温かい?
そんな感情は、なかったはずだ。
あるのは、ただ冷たい永遠の前途と、血のぬくもり…だけ。
不意に疼く胸の痛みと、過ぎる面影は、一瞬で消える。
鼓膜の奥深くで流れ続ける、旋律だけを残して…──
(終)
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悪魔化しても苦しんでたりとか。そんなライさん。
あのEDのずっとずっとあと。