[ life with ]
(ユキヒト×アキラ)



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「……?」

 おかしい。

 確かに昨夜、洗濯をして…そして、ここに干した。

 その光景をもう一度最初から思い返しながら、アキラは立ち尽くした。


 何度思い出してみても、夢ではない。
 とすると、心当たりはただ一人…。

「あいつ…!」

 思わず呟いて、眉根を寄せる。



 すると、ちょうどそんなタイミングで、玄関の扉がガチャリと鳴った。


「ただいま」


 いつもと同じように声を掛ける影を睨み、


「おい、ユキヒト!」


 アキラは仏頂面のまま近寄った。

 そうすれば、彼の全身が嫌でも視界に入る。



「…やっぱり。─それ、俺の服だろ」

 そう、昨夜干したはずのアキラの服を、なぜかユキヒトが着ている。


「いいだろ? 少し小さいけど、そこまでサイズが違う訳でもないんだし」

「……」

 小さいは余計だが、今はそこを問い詰めるべきではない。


「そういう問題じゃない」


 毅然とした態度で臨んでも、ユキヒトはどこ吹く風で返してくる。


「ほら、お前にはこっちの方が似合う」

 不意に、抱えていた荷物を放られ、慌てて両手を差し出した。


「…!」

 咄嗟に受け止めて、袋を開けてみる。


 出てきたのは、今ユキヒトが着ているのとは対照的な色の服…。
 明らかに新品だ。今買ってきたとしか思えない。


「これ…」

「お前はそれ着てろよ」

 さらっと告げて、そのままユキヒトは部屋の奥へ進んで行く。


 ─ 訳がわからない。


 でも、もしかすると…。


 確信もないし、ユキヒトは言わないだろう。


 だから、

「…今度はお前の服、借りてくから」


 アキラはお返しとばかりにそう言った。

 の、だが…。


「あぁ。 ─ 1日中、俺の匂いに包まれてろよ」


「…っ」


 あっさりと言い返されて、言葉に詰まる。


「…馬鹿だろ、お前…」


 観念してボソリと呟けば、ユキヒトは楽しそうに笑った。



─ END.(2008.9.25.)